
転生したら、悪役令嬢のタイツ。
SNSタイッツーのエア企画「タイツコミケ」2024年夏にエア出展した際に作った、エア新刊ネタです。
すべてエアなので、本当に描(書)く予定はありませんが…が、ちょっと描いて見たくはある……かも……(笑)
目次:
登場人物
鯛津 冬子 (たいつとうこ)(享年18歳)
本作の主人公。
平凡な日本の女子大生。大人しく内向的で自分の意見もなかなか言えない性格だが、そんな自分が嫌で大学入学を機に変わろうと決意する。
だが、大学の入学式の帰り道、自動車の前で固まってしまった横断中の子猫を助けるために、思わず自動車の前に飛び出し、自動車に轢かれて死亡。
……と思ったら、生前好きだった漫画「悪役令嬢のシンデレラ・リベンジ~死に戻ったら転生前の過去を思い出しました~」の世界に転生してしまったことに気がつく。
「今流行りの異世界転生?!」と胸を高鳴らせたものの、何かがおかしい。
なんと転生先は、「悪役令嬢」シャルロッテのタイツだったのだ!
シャルロッテ・アンリエッタ・フォン・ローゼンベルク(14歳)
「悪役令嬢のシンデレラ・リベンジ~死に戻ったら転生前の過去を思い出しました~」の主人公であり、本作の準主人公。
ツリ目気味の凛とした美しい顔立ちで、「悪役令嬢」というイメージに合う容姿をしている。本人は人参のような赤毛を嫌っているが、「成長するにつれ、赤みがかった金髪に変わる」という設定があり、18歳になる頃には髪色が変わることになる。
ローゼンベルク公爵家の一人娘で、蝶よ花よと大切に育てられたため、ついわがままを言いがち。
公爵令嬢ということもあり高慢な態度や言動が目立つが、言葉がキツイのは実はツンデレのためであり、根は優しく、多少わがままな年頃の少女というのが素の姿である。
13歳の時、第一王子のパトリックと婚約。いわゆる「政略結婚」の婚約のため、14歳現在、仲は悪くはないがよくもない。
「悪役令嬢のシンデレラ・リベンジ~死に戻ったら転生前の過去を思い出しました~」の物語の中では、シャルロッテはパトリック殿下に想いを寄せている設定となっていたが、どうやらそうでもないらしい?
「物語」のスタートはシャルロッテが15歳になって、学園に入学するところから始まるのだが……。
パトリック・レオポルド・フォン・エインズワース(16歳)
「悪役令嬢のシンデレラ・リベンジ~死に戻ったら転生前の過去を思い出しました~」の、いわゆる「ざまぁ」される対象になる第一王子殿下。
シャルロッテの婚約者。立太子はまだしていないが、現段階では立太子候補である。
「物語」の中では正義感が強いがプライドが高く思い込みの激しい、苛烈気味な性格の設定だったが、ここでは温和で争いを好まない、悪く言えば頼りない性格になっている模様。
人望あるが民からは「人徳者で暴君にはならなさそう」「人望はあるが君主となるには頼りない」と評価が割れている。
シャルロッテのことは嫌っているわけではないが、言葉のキツいところを苦手と思っている(ツンデレな性格を理解していない)。そのため人当たりが良く優しいエリーに心惹かれていく、というところは「物語」のストーリーのままの様子。
エリー・グレイストーン(14歳)
「悪役令嬢のシンデレラ・リベンジ~死に戻ったら転生前の過去を思い出しました~」の「聖女」であり、シャルロッテが死に戻ることで思い出した「前世」の小説「私が聖女?!~元平民の子爵令嬢ですが、光魔法の使い手でした~」のヒロイン。白金色の髪の美しい少女。
教会育ちの孤児だったが、ある日光魔法の使い手であることが発覚。聖女候補として学園に通わせる資格を得るため、王命によりグレイストーン子爵家の養女となった。
優しく大人しい性格であり、争いを好まない。自分が光魔法の使い手であることに困惑しており、聖女候補となったことに不安を抱いている。
「私が聖女?!~元平民の子爵令嬢ですが、光魔法の使い手でした~」の中で、第二王子のクラウスと婚約を結ばされる予定であったが、第一王子のパトリックと恋仲になる、という筋書きになっていた。
この世界(「悪役令嬢のシンデレラ・リベンジ~死に戻ったら転生前の過去を思い出しました~」)でも、パトリックと惹かれ合うようになるようだ。
クラウス・レオポルド・フォン・エインズワース(15歳)
「悪役令嬢のシンデレラ・リベンジ~死に戻ったら転生前の過去を思い出しました~」では名前しか出てこない第二王子。(そのため冬子には第二王子の情報が殆どない)
どうやら「私が聖女?!~元平民の子爵令嬢ですが、光魔法の使い手でした~」の中では聖女候補エリーの婚約者候補として多少の出番があるようだが……。
周囲からは正義感が強く芯のある、しっかりした人物という評価を受けているらしい。
シャルロッテもあまり接点がなく、人となりをあまり把握していない。
第一王子と年子であり、どちらも性格は違えど優秀ではあるため、国王はどちらが立太子にふさわしいか現在見極め中なのだとか。
ストーリー冒頭
私の名前は鯛津冬子(たいつとうこ)。どこにでもいる……いや、特徴がなく影が薄い18歳の大学生だ。
内向的で自分に自信がない私は、高校時代までは目立たず大人しく、ただ静かに過ごす……言ってしまえば「何事もやり過ごす」ことだけを考えて生きてきたと思う。いじめに合うことすらないほど存在感を消していたし、確かに平和な日々だった。けど、友達と呼べる人も殆どできなかった。
本当にこのままでいいの?って心の中でずっと思っていたけど、勇気がなくて変わることもできずにいた……でも。
「今日から大学生!今度こそ、生まれ変わるんだ!」
そのために地元を離れ、わざわざ知り合いが誰もいない学校を選んだのだから。
何者かになれなくてもいい。周りの顔色を伺ってやり過ごすことばかりで流されることなく、「これが自分だ」と思える生き方が出来るようになれればいい。
大学の入学式、私は改めて強く決意した。
入学式が終わり、私は下宿先への道を急いでいた。荷物が昨日届いたばかりで、まだ荷解きが終わっていないのだ。明日からオリエンテーションが始まるので、今日中に荷解きを終えてしまいたい。
下宿先の近くの大通りで信号待ちをしていた私は、道路の中央付近で立ち竦む子猫の姿に気がついた。まだ小さな子猫だ、対向車線の車通りの激しさに怯えて固まってしまったのだろう。
そこに、並行車線に1台の自動車がスピードを上げて走行してきた。
その場所に立ち止まっていたら轢かれちゃう!
私はとっさに子猫に向かって飛び出していた。
ドン!という音とともに激しい痛みを感じた後、私は意識を失った………。
自動車に轢かれて、あのまま死んだと思っていた。
眩しさを感じて目を開くと、そこは見知らぬ部屋だった。
でも、ここは病院じゃない。
何故なら、日本ではなかなか現実で見ることがなさそうな洋風の豪華な部屋……そう、映画や漫画で見る「貴族の部屋」のイメージそのものの部屋なのだ。
(ここは? それより私、生きてるの? あの子猫は大丈夫なの?)
まだはっきりしない頭で、最後の記憶をたどっていると、目の前に見える豪華な広いベッドの上に人の気配を感じた。
「……ん…………」
寝返りを打ったであろう衣擦れの音に混ざって、女の子の声が聞こえた。
人がいる。そうだ、まずは状況把握をしなくちゃ。何故自分がこんな豪華な、見知らぬ(と思われる)女の子の部屋にいるのか。この部屋の主であろうこの子に聞けば、なにか判るかもしれない。
立ち上がり、ベッドのそばに行こうと思った時、私は初めて自分の身体の違和感に気がついた。
景色は見えている。でも、私が居る場所はソファや椅子の上ではなく、なにか硬いものの上のようだ。
そして起き上がろうと身体に力を入れようとしたが、なんだか思ったように動けない。何と言うか……身体を支える「芯がない」感じ、と言えばいいんだろうか。それなら腕で支えて起き上がれば良い、と思ったが、今度は「腕」の感覚がない。ない、というか……腕と脚が一緒になったような感覚なのだ。
(え、何これ…何が起こってるの?!)
軽くパニックに陥りそうになったが、こういう時こそ落ち着かなければ!と、冷静な部分の脳が感情を引き戻してくれた。その時ふと、以前プレイした「パンになるゲーム」を思い出し、良くわからないけどモノになったつもりで動いてみようと考えた。
自分はモノだ、と想像しながらゆっくりと慎重に身体を動かし、なんとか上半身?を起き上がらせることに成功した。自分の居る場所を確認してみると、なにかの家具の上に居るようだ。これは……ドレッサー?
はっと気づき、振り返るとそこは鏡になっていて、そして私の姿を映し出していた。鏡に映る自分の姿を見て、私は思わず声を上げていた。
「なにこれっ……タイツ!!?」
人じゃないどころか、生き物でもないなんて?!
「誰!?」
背後から聞こえた声に思わず振り返ると、ベッドから降り立った少女の姿があった。
(うわ……美少女)
薔薇色の唇に大きな青い瞳。ツリ目気味の目はキツそうな印象を与えるものの、まだあどけなさの残る顔立ちは愛らしい。軽くウェーブのかかった、オレンジに近い赤毛が特徴的だ。
(あれ? でもこの顔、どこかで見たことがあるような……)
「あら? 誰もいない……確かに声が聞こえたと思うのだけど、わたくしの気のせい……?」
少女はキョロキョロと周りを見渡す。
(!! そうだ、思い出した!)
「シャルロッテ・アンリエッタ・フォン・ローゼンベルク?!」
長いフルネームがすらすらと出てくるくらいには、良く知っている。生前(……と言っていいのかな?)、大好きで何度も読み返した漫画「悪役令嬢のシンデレラ・リベンジ~死に戻ったら転生前の過去を思い出しました~」、略して「デレリべ」の主人公の「悪役令嬢」シャルロッテ。そのシャルロッテが実体化したらきっとこう、っていう姿なのだ。目の前の美少女は。
「! やっぱり誰かいますの?! 何故わたくしの名前を?!」
やっぱりシャルロッテなんだ……!ということは、ここは……この世界は。「デレリべ」の世界ということ。私、デレリべのシャルロッテのタイツに転生しちゃったってこと?!
「あ、あの! ここです」
意を決して、私はシャルロッテに話しかける。
「えっ……ここって……」
再びシャルロッテが周囲を見渡す……が、今度は私(タイツ)と目が合った。
「ひっ……!! タ、タイツが喋って……!? だ、だれか……」
「ま、待って!」
人を呼ぼうと声を上げそうになったシャルロッテを押し止めようと、私は早口に続けた。
「私の名前は鯛津冬子、異世界……こことは違う世界の人間だったのだけど、事故に遭って気がついたらこの世界に……この姿になってたの!」
自分でも何を言っているのやら、と思うものの、これが真実だ。だがもちろん、こんな話、すぐに信じてもらえるとも思っていない。信じてもらえるまで、いやむしろ、気味悪がって捨てられる前に、言葉を尽くして信じてもらうしかない、と思った。
しかし、シャルロッテの反応は意外なものだった。
「違う世界から、来た人間……?」
訝しげではあるものの、こちらの言葉を聞こうとしてくれている。少なくとも、使用人を呼びつけてすぐに捨てて! と言い放つ様子は見られない。
「信じてくれるの?!」
「嘘なの?」
「! 嘘じゃない! 本当よ!」
「そう……分かったわ。まだ完全に信じているわけではないけれど、あなたの話に興味が沸いたわ。えぇと……タイツ・トーコ?って言ったかしら。変な名前ね」
「トーコでいいよ」
「トーコね。もうすぐリサ……わたくし付きの侍女がやってくる時間だわ。あなたはクローゼットの中に隠れていなさい。朝食のあと、ゆっくりお話を聞かせていただくわ。」
「わ、分かった。」
シャルロッテは私をクローゼットにしまうと、呼び鈴を鳴らし、侍女を呼んだ。
クローゼットの中で落ち着くと、私は状況の整理をすることにした。
ここは「悪役令嬢のシンデレラ・リベンジ~死に戻ったら転生前の過去を思い出しました~」略して「デレリべ」の世界で間違いなさそうだ。そしてここは悪役令嬢こと主人公のシャルロッテの部屋。私は、悪役令嬢シャルロッテ・アンリエッタ・フォン・ローゼンベルク公爵令嬢のタイツに転生してしまったという訳だ。
(最近流行りの異世界転生が、まさか自分に起こるなんて……)
異世界転生と言えば、「自分の知っている物語の世界に転生して、その記憶や前世の知恵を使ってざまぁしたり自由に生きたりするのがセオリーだ。だとしたら、私がこの世界に来てやることは……。
と、そこまで考えて、はたと気がついた。
そうだ。「デレリべ」は悪役令嬢もの……つまり、悪役令嬢が主役の物語だ。それが何を意味しているかというと、「デレリべ」自体が
「死に戻りした悪役令嬢が、『私が聖女?!~元平民の子爵令嬢ですが、光魔法の使い手でした~』という物語の世界に転生したことを思い出し、元婚約者を捨てて幸せを掴む」という筋書きなのだ。
だから、ここが「デレリべ」の世界であれば、主人公であるシャルロッテは「一度命を落とし死に戻りした後に幸せを掴む」未来が待っていることになる。「悪役令嬢」という肩書は、「未来を逆転する役柄」としての役名であり、本来の意味での「悪役」ではない。
そして、私が知っている「デレリべ」の物語のままの世界だとすれば、シャルロッテ本人も異世界転生者ということになる。
(うわ、ややこし……)
「今」のシャルロッテは死に戻り前だろうか、それともすでに死に戻りした後だろうか。もしかしたら、死に戻りして自分も転生者だと思い出した後なので、私の話も聞いてくれたのかも知れない。
(だとすると……)
私が「デレリべ」のストーリーを知っているとしても、シャルロッテは私の記憶や手助けなんて必要ないし、誰の手を借りなくても、そもそも彼女は幸せを掴む未来が約束されている筈なのだ。
なら、私がここに、彼女のタイツに転生した意味は何なんだろうか。
私は一体、ここで何をすれば、彼女に何をしてあげればいいのだろうか。
シャルロッテが戻るまで間に、私はまた新たな壁にぶつかったことに気づき、絶望していた……。
-------------<冒頭部分、ここまで>-----------------------------------------
サークルカット
タイツコミケはエアイベントですが、主催者さまが色々ご用意くださって、サークルカットなんかも描くフォーマットがありました。夏タイコミのサークルカットはこちら。

お品書き
そして、エアイベント「夏タイツコミケ2024」当日のお品書きなど。
ちなみに、「一流シェフのキーホルダー」もエアグッズです(笑)エアならいくら企画しても妄想だから気楽!(ぉぃ
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